久恒流「図解」術

  • 月曜日の"Managing Strategy"(戦略論)はいよいよMBAコース最終講義である。この日はグループ・プレゼンテーションが行われる予定で、木曜日にEric、Manabuさんと3人でミーティングを持った。お題は「高級靴ブランド"Bally"の戦略オプション」で、基本通りSWOTで企業内部・外部の環境分析、PESTでマクロ環境分析、ポーターの5forceで競争環境分析を行った後、Ballyが取るべき戦略のオプション(選択肢)を議論し、それを実現するために必要な条件を考えた。全部で10分間のプレゼンなので、パワポのスライドは各2枚とし、各自で土曜日までに作成して僕が3人分を編集することになっていた。
  • 土曜の午後、Manabuさんから原稿が届く。テキストのみによるシンプルな構成だが打ち合わせの内容が過不足なく盛り込まれていた。Ericからは深夜にようやく届いたが、実は僕自身が例によってなかなか気合が乗らず、自分がアンカーであることをいいことに自分の締め切りは延長していたのであった。朝、Manabuさんからメールが届く。Ericの内容が打ち合わせを全く反映しておらず、全く初耳の内容で作っていることに対するクレームであった。僕もとりあえず"I have the same opinion"とクレームを入れておく。
  • Ericは環境分析のまとめ、Manabuさんが"Strategic Choice"(戦略の選択)、僕はその戦略を実行するためのアクション・プランという分担で、編集の前に自分の分を片付けなければならない。いろいろ悩んだ末、図解を用いることにした。図解そのものは昔からある一般的な表現手法であるが、僕は久恒啓一先生(宮城大学教授)の「図解学」を信奉していて、ご著書もたくさん読んだし、実際に会社で図解入りの書類をたくさん作って訓練したり、セミナーに出かけてご本人に会ったり、メールマガジンを購読したりしてきたのだ。「久恒図解学」は「図解を有効に使うことによるコミュニケーションの深化」から、さらには組織そのもののイノベーションにまでつなげてしまおうという壮大なもので、単なる書類作成の技術ではないのである。僕が参加したセミナーは、図解学から発展させた「合意学」であった。
  • 渡英前に久恒先生監修のジャストシステム『図解マスター』というソフトを購入して持参してきた。Wordでも作れるがせっかくなので便利なソフトがほしかったのだ。ところがMBAに来てみると、ひたすら英語の文章を書き続ける日々であまり図解の出る幕がない(むしろマインドマップを描くための「Mind Manager」が活躍した。今日はこのソフトをフルに使うチャンスである。『図解マスター』で作った図をJPEGで保存してパワポに読み込む手順である。案の定凝り性の癖が出てドツボにはまったがようやく自分の2枚を完成し、Manabuさんの2枚のうち1枚もポジショニングの図解に変更してしまった。さて問題はEric。本人は悪気はなく(?)、SWOT、PEST、P5Fの分析の全てを1枚に表現することは難しかったので別の方法を使った、と言うのだが、分析の内容が戦略提案につながっている、という流れが全くブチ切れてしまっているのでManabuさんからダメが出た。するとしばらくしてから、各分析をそのまんま1枚ずつ書いた(しかもブレストで出した全アイデアを入れた)スライドが出てきた。
  • 僕はこれを1枚にまとめることに挑戦したのである。難しかったが我ながら美しい図解が完成した(自己満足)。Ericに送ったら「Exexexexcellent!!!」だそうだ(爆)。時間がかかってしまったが、これはそのままアサインメントの添付資料に使えるので苦労した意味はあるのである。