株主価値分析(Shareholders Value Analysis)の弱みとは

  • 本日はミーティングが2つ。まず1時より月曜日の"Managing Strategy"(MBA最終講義!)でのグループプレゼンテーションの準備打ち合わせ。高級靴ブランド"Bally"がとるべき戦略オプションについて、実行可能な案に落とし込んで提言する、というもので、プレゼンテーション後、同テーマで個人アサインメントをまとめる。本来6人グループだったはずが、いろいろあって1人去り、2人消え...そして3人が残った(by Genesis--古いなあ)。10分間のショートプレゼンなので3人でも各自3分ちょっとの割り当てで、それほどの負担ではない。打ち合わせのには準備不足で臨んでしまったが、Eric、ManabuさんとSWOT、PEST、5Forcesのブレーンストーミングをやって、どうにか方向性がまとまった。土曜日までに各自割り当て分のスライドを作成し、僕が日曜日までに全員分のパワポを編集する予定。内容的には十分にアサインメントが書けるまでの材料も揃ったと思う。今度こそは徹夜にならないように(「明日できることは今日やらない」姿勢が最大の元凶)、早めの仕事を心がけたいと現時点では思っている。
  • 2つ目は4時から試験対策の日本人ミーティング。"Managing Strategy"について、試験範囲からテーマを分担して勉強した結果を共有しよう、という主旨である。少しでも効率化しないとこなしきれない分量なのだ。"Core Competence"、"Strategic Choice"、"Strategic Option"と僕が担当の"Shareholder's Value Analysis"。日本でも最近は欽ちゃん似のM上ファンドの活動などで「株主の価値」というものが注目されるようになってきているが欧米の資本主義社会では昔から常識。しかしながら、学んだ内容はそれに対する批判からスタートしており、「株主価値だけを追求することは果たして会社の戦略として正しいのか」という視点での議論を展開した「ハーバード・ビジネス・レビュー」の記事を使用した。それを中心にまとめたのだが、結論は「株主価値分析」と「戦略分析」はどちらが欠けても会社は正しい方向には行かない、というもの。前者は株価や配当、キャッシュフローといった財務データのみしか見ない上、短期での評価しかしないため、「顧客満足」とか「イノベーションを生む投資」などの大切な要素(目に見えないものも多い)が無視されてしまう。後者はマーケティングや人材戦略、オペレーションなどを「顧客」「競合」の視点で考えるが、ともすれば定性的になり財務的な評価が抜けがちである。また前者はある戦略を推進したいものによる恣意的な解釈が可能だという欠点もある。したがって、両者をうまく結合させて、「使ったお金=Cashout」がどのような「競争優位」を生み出して、その「競争優位」がいつ、いくらの「Cashin」をもたらすのか、という分析が不可欠である。また戦略オプションは可能な限り広げ、選択後も常に他の選択肢を考え続けること、「株主価値分析」(特にキャッシュフロー予測)については計算の前提条件を厳しく吟味すること、などが要求される。
  • 理論的にはそういうことなのだが、いざ実行することを考えると容易ではなさそうだ。診断士試験のときは学ばなかったが、経営コンサルタントとしては必要な視点であり、オリジナルな手法を編み出すことができると面白いかもしれない。
  • 打ち合わせが終わってStaff Clubのバーでいつものように2パイント。軽く飲んで8時過ぎに家路についたが、まだ昼間のような明るさだ。これからさらに日が長くなる。中緯度で育った日本人には調子が狂うイギリスの夏である。