ルフトハンザの将来戦略(ほぼ完成!)

  • 午後1時より、図書館のグループ学習室で"Managing Strategy"の打ち合わせ。先日のパブでの議論に基づいて各人が修正した原稿と、新規追加部分について討議する。2010年を見通した環境分析に基づいて「コストリーダーシップ戦略」「グローバル拡大戦略」「差別化戦略」の3つの選択肢を討議して、「差別化戦略」をお勧めとして結論部分で提案する、というのが前回の決定事項。この「差別化戦略」は僕の提案なので必然的に結論部分の原稿も書くことになった。
  • 顧客ニーズによりきめ細かく対応して満足度を向上させ、サービス品質におけるブランド価値を創造しよう、というのが提案の骨子。具体的には、ルフトハンザのコアマーケットである「長距離路線」の非ビジネス客をターゲットとした。「利便性」と「快適性」という顧客ニーズは短距離より長距離において強く、新しい付加価値を見出しやすい。誰もがビジネスクラスに乗れるわけではないが、エコノミー客だってできればより楽でリラックスできる旅を望んでいるはずだ。ヴァージン・アトランティックなどが提供している「プレミアム・エコノミー」は一つのソリューションだが、このアサインメントでは異なった視点での顧客価値に注目した。
  • 空の旅の「利便性」「快適性」において困っている人々は誰かというと、小さな子供を連れた家族とお年寄りである。12時間に渡って子供を抱っこし続けたり、狭い座席で食事を取る辛さ。そんなとき、子供が遊べる(玩具つきの)ちょっとしたプレイスペースが機内にあって、(乗務員兼任でもいいが)ベビーシッターのような人が1人いてくれたら、親はリラックスできる時間を少し得ることができる。年配客も、座席の工夫や万が一のサポートなどがあれば旅の安心度が増すに違いない。そういうサービスがあればもう少し余分に運賃を払っても構わない、というセグメントが存在するはずなのである。
  • この戦略を提案したのは、ルフトハンザの強みが「優れた人材育成システム」による「良質な顧客サービス」だからである。企業文化に裏打ちされたナレッジが蓄積されれば、他社が容易にコピーできない持続的な競争優位が築けるのではないか。全社的な組織改革、企業文化のイノベーションによって経営危機を脱し、高収益を実現しているルフトハンザであるが、まだ「旧国営航空会社」という古いイメージを払拭し切れていない。長期戦略を見据えると、新しいブランドイメージの構築は不可欠に思える。
  • 「差別化」の具体的施策についてはセグメントを絞って考えたが、これによって築かれる「全てのお客様に暖かいサービスを」というイメージによって一般客へも訴求し、ドル箱の長距離路線をさらに高収益化しよう、というスンポウである。短距離路線で急成長している格安航空会社との全面競合を回避する、という意味も大きいし、(アメリカの大手のように)価格戦争に巻き込まれなければ原油高への抵抗力も維持できる。
  • というような論旨でまとめたのだが、お察しの通り自分の経験(子連れ旅の苦労)から浮かんだアイデアなのであった。