(続)エイチ・エス証券副社長の死

ライブドア関連会社の役員だったエイチ・エス証券の野口英昭副社長(38)が、那覇市内のカプセルホテルで死亡していたことが沖縄県警の調べでわかった。県警は自殺とみている。
副社長は証券会社勤務を経て、00年にライブドアの前身だったオン・ザ・エッヂに入社。同社の東証マザーズ上場に携わった。その後、ライブドアグループの投資会社の社長に就任。02年6月にエイチ・エス証券に転じた。
同証券の子会社の日本M&Aマネジメントがライブドアの企業買収にかかわった投資事業組合を運営しており、東京地検特捜部はライブドア関連会社の証券取引法違反容疑事件で関係先を一斉捜索した際、副社長の自宅やエイチ・エス証券のオフィスにある机なども捜索した。
沖縄県警などの調べでは、18日午後2時半ごろ、非常ベルがなったため部屋に駆けつけたホテル従業員が、副社長が手首から血を流してベッドに横たわっているのを発見した。近くに包丁が落ちていた。副社長は病院に運ばれたが、約1時間後に死亡を確認。遺書はなかったという。副社長は同日午前11時ごろ、1人でチェックインした。非常ベルは自分で押したとみられる。

読売の第2報がこれ。http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe5900/news/20060119i208.htm

沖縄県内で遺体で発見されたエイチ・エス証券副社長とみられる男性は、野口英昭副社長(38)だったことが19日、沖縄県那覇署の調べで確認された。同証券も同日、発表した。遺書はなかったが、死亡していたホテルの部屋に荒らされた様子がなかったことなどから、同署では自殺とみている。
調べによると、野口副社長は18日午前11時20分ごろ、那覇市内のホテルに1人でチェックイン。午後2時35分ごろ、室内の非常ブザーが鳴り、ホテル従業員が合鍵で入ったところ、ベッドの上であおむけに倒れていた。手首などに切り傷があり、そばに小型の包丁(刃渡り約10センチ)が落ちていた。病院に運ばれたが、午後3時45分に死亡が確認された。死因は失血死。

  • 人の死は重い。とりわけそれが不慮の死であったとき、僕のような無関係なものが軽々しい発言をするべきではないとも思うのだが、「自殺」という(昨日のエントリで僕が予想した通りの)報道に対して、どうしても拭えない疑問をここに書くことを我慢できない。38歳の若さで無念の死を遂げた野口さん(僕と同い年だ)と、(いるとすれば)彼の死に関わった人間のみが沖縄のホテルの一室で起きた事件の真相を知る。以下は新聞社が発信した記事のみから感じた疑問点であり、(自殺ならよい、という意味ではないが)僕の憶測であることを願いたい。記事から読み取れるのは、
    • 「カプセルホテルで死亡」(朝日)、「ホテルの部屋」「ベッド」(読売)という違い。カプセルホテルと普通のホテルでは状況が極端に異なる。カプセルホテルは自殺の場所としては「?」という感想。どっちの報道が正しいんだろうか。
    • 「非常ベルが鳴ったため」「室内の非常ブザーが鳴り」。自殺する人が非常ベルを何のために鳴らすのか。自分の死を早く知ってほしいからか。生への執着が蘇ってきて助けを呼んだのか。「襲われて助けを求めた」という解釈と比べて、どちらが自然だろうか。
    • 「部屋に荒らされた様子がなかった」。(記事に書かれている限りでは)唯一の「自殺」の根拠である。しかし、「強盗」が目的でなく、「殺人」だけが目的であった場合、部屋を荒らす必要はないし、そういう事件現場など枚挙に暇がないだろう。「争った形跡がない」という意味としてとると、「顔見知りの犯行」「プロの仕業」といった可能性も通常は検討されるものと思うのだが。百歩譲って「自殺と他殺の両面から慎重に捜査」ではないのか。
    • 「遺書はなかった」。もちろん遺書のない自殺などいくらでもあるだろうが、「自殺」の判断を裏付ける材料にはなりえないだろう。
  • というわけで、沖縄県警の極めて迅速な「自殺」見解、みなさんはどう思われますでしょうか?